5月の上海は、気候も穏やかで街歩きにぴったりの季節。アートイベントも各地で本格化し、街そのものがアートのような感性に満ちている。大型連休や週末を活かして、美術館をめぐったり静かな時間を過ごしたりするには絶好のタイミング。今回は、おすすめの9つの展覧会を厳選。現代美術、テクノロジー、自然保護から日本アニメまで、幅広いテーマを網羅する。
1 金于填:万物皆相连吗?(すべての命はつながっている?)
会期:2025年4月27日〜6月8日
会場:閔行区宝路3055弄宝龍美術館
馬、鹿、ウサギ、猫、鶴、犬など、多様な動物たちが同じ空間で共存するインスタレーション。単なる造形の並置ではなく、「完成された形」から「関係性を築く存在」へと彫刻の概念を再定義する試み。
2 穿越本体――ロボットアート中国
会期:2025年4月21日〜7月13日
会場:浦東新区祖冲之路2277弄1号
19組の中国人アーティストによる25点を展示。人型ロボットとアートの融合を通じて、身体性や未来の存在について問い直す。テクノロジーと美術の交差点に立つ意欲的な企画。
3 低头捡星光(星を拾うように)エコアート展
会期:2025年4月20日〜5月4日
会場:徐匯区瑞寧路111号星美術館
チベット高原・三江源の大自然から黄浦江の都市夜景まで、「源」と「終」をつなぐエコロジーの視点を提示。廃棄物を素材としたアートや写真展示、ゲストトーク、ワークショップなど多角的に展開。自然保護の意識を静かに揺さぶる。
4 デイヴィッド・ホックニー:もっと大きい、もっと近い
会期:2025年4月29日〜11月30日
会場:徐匯区龍騰大道2600号西岸美術館 B1 智造エリア
ホックニー史上最大規模の回顧展。70年にわたる制作活動を400点以上の作品で振り返る。iPadを使ったデジタルドローイングや空間の再構築など、常に進化を続けるそのまなざしに触れられる。
5 奇梦环游(奇夢環遊)
会期:2025年4月25日〜6月16日
会場:静安区愚園路68号 CP静安L1
「初遇―沉浸―释放―觉醒」の4つのテーマで構成された没入型空間。光、音、インスタレーションで夢と現実の境界を曖昧にし、来場者は“オーザイ”と共に感情のかけらを集める旅へと出る。体験型アートと物語性が融合した幻想世界。
6 我错过的来电(逃した着信)
会期:2025年4月4日〜8月3日
会場:上海黄浦区淮海中路300号K11ショッピングモール B3 美術館
絵画、映像、彫刻、インスタレーションなど多様な手法で構成される展示。自己、感情、記憶、他者との関係といった普遍的なテーマに独自の視点で迫る。見る者に静かな余韻を残す。
7 法兰西喜剧院 舞台ジュエリーコレクション
会期:2025年5月1日〜10月7日
会場:黄浦区淮海中路796号歴峰双子別墅
フランス喜劇院の所蔵品から、100点以上の舞台用ジュエリーと関連資料を展示。華やかな舞台の裏に隠れた技巧と物語を探る。舞台芸術と装飾工芸の交差点に立つ展覧会。
8 未来之园:种子计划
会期:2025年2月21日〜5月21日
会場:徐匯区龍騰大道2266号西岸夢中心AARK SPACE
中国初の球幕型インタラクティブ展。裸眼3D、AI、センサー技術を駆使した未来的空間「未来之園」が広がる。サイバーパンクな世界観の中で、現実と仮想が交錯する体験が待っている。
9 日本クラシックアニメ原画展
会期:2025年3月22日〜5月10日
会場:普陀区莫干山路50号6号楼102室
『スラムダンク』『セーラームーン』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』など、20作以上の名作から原画約200点を展示。1960〜2010年代にかけての日本アニメ史を一望できる。セル画や名シーンを通して、懐かしい記憶と再会する。
Tips:
平日午前や夕方以降は比較的空いている。
事前予約・時間指定が必要な展覧会もあるため、公式情報を確認。
会場によってはカフェやショップ併設、長居にも向いている。
今だけのアートに出会える春。忙しい日常から少しだけ離れ、静かな感動を探しに出かけよう。
―― 上記の情報は各展覧会の公式資料をもとに整理したもの。