最も致命的ながんのひとつに対し、最先端の治療を試みる病院
アメリカ合衆国最高裁判所のルース・ギンズバーグ判事やオペラの巨匠ルチアーノ・パヴァロッティの死は、膵臓がんという最も致命的で治療が難しいがんが注目されるきっかけになりました。
それを知って、私は上海がんセンターの入院棟の13階に上がると、膵臓外科がある場所ということもあって、一瞬不安を感じました。
統計的には深刻です。病気を早期に診断することが難しいため、一般的に5年生存率は約9%と認識されています。
私は数日前に手術を受けた曹という患者を訪ねました。彼の妻である何さんが、彼の傍らに座り、「夫の状態は安定しており、病院での質の高いケアに感謝している。」と話してくれました。
「外科医は1日に少なくとも3回から4回、彼の様子を見に来ます。外科医の治療に専念する気持ちと忍耐が、私たちがこの病気と戦う心の支えとなっています。」と何さんは言いました。
膵臓は、胃の後ろに位置する腹部の器官で、長さは約15センチメートルの細長く平たい形をしています。また、腸内でタンパク質、脂肪、炭水化物を消化するための酵素を作り、インスリンとグルカゴンというホルモンを生成します。
2010年に撮影された写真には、膵臓外科部門の先駆者たちが写っており、その中には膵臓外科部門の主任で上海がんセンターの副院長であるYu Xianjun(虞先濬)医師(前列左から3番目)もいます。
曹さんの手術を担当したのは、膵臓外科部長兼副院長のYu Xianjun(虞先濬)医師です。
多忙のなか、診察の合間にYu Xianjun(虞先濬)医師に会うことができました。彼はエネルギッシュで、情熱的で、自分の仕事についてよく話してくれました。
彼のオフィスの壁には、2010年に同科を設立した先駆者の写真が飾られていました。
「我々が仕事始めたときは、正式な職員が3人、患者用のベッドが7台しかありませんでした。」と彼は学生たちの前で自分と2人の同僚を指差しながら言いました。
この小さなチームは、虞医師が17年間外科医として働いた華山病院から来ました。
現在、同科には80人以上の医師がおり、上海の膵臓悪性腫瘍手術の3分の1を手がけ、その手術の5年生存率は25%となります。
「これは我々が過去10年間に行った中で最も意義深いことで、我々は患者の延命のためにここにいます。」と虞医師は述べました。
2019年現在、膵臓外科部門は医師、学生、研究者を含む80人以上の専門家からなるチームに成長しました。
過去20年間で、上海の膵臓がんの発生率は人口10万人あたり10件から15件に増加しました。その原因は、食習慣の変化と、ストレスの多い生活が影響していると考えられています。
虞医師によれば、膵臓がんの治療は外科的技術と腫瘍研究における究極の試練です。
20世紀初頭以来、腫瘍の外科的除去はがん治療の主要なアプローチでした。しかし、膵臓の除去は非常にリスクが高く、病気が他の臓器に容易に転移する可能性があります。
「がんは、体全体の変化を示す全身性の病気であり、複雑ながんを治療するためには、手術以外の別な補助的な方法を用いなければならない。」と虞医師は述べています。
化学療法、放射線療法、標的療法、免疫療法などの新しい治療法の発展により、進行したがん患者の寿命を約5年延ばすことができるようになりました。
そのため、「単に外科的切除に依存する時代は終わりました。」と虞医師は述べています。
虞医師のチームは現在、外科、腫瘍内科、放射線治療、病理、画像診断の専門医により構成されています。
このがんセンターは2015年以来、多職種チームの開発における先駆者となっています。
数年前、旧正月の休暇中に当直した際、病院の院長に膵臓がん専門の部門を設立する提案をしました。
「彼は私の頭がどうかしていると思いましたが、私は周術期化学療法を含む包括的治療の重要性を主張しました。」と虞医師は言いました。
結果、院長は小さなナースルームを化学療法の日帰り病室に改造することを承諾しました。
「さらに多くのことを要求する前に、何とか形にしなければなりませんでした。」と虞医師は言いました。
当時を振り返り、財政難やスタッフ不足などの対応で、辛っかたと言います。
「患者数が多すぎて、ストライキを起こしそうになりました。」と虞先生の看護師たちは語りました。
医学セミナーの資金を申請するために一人で北京に飛んだり、がん研究を改善するためにドイツのパートナーを探し始めるなど、彼の大胆さに同僚たちは驚かされました。
しかし、彼の粘り強い努力は最後には報われました。2年後、膵臓がんの多職種治療部門が設立され、毎年1万件以上の化学療法を実施しています。
浦東ウィングで総合的な外来治療を受ける患者。
現在、浦東ウィングでは総合的な外来診療が3日に1度行われており、半日で40人の患者を診ることができます。
多職種アプローチの適用には、異なる分野から専門家を呼び寄せることが必要です。
「異分野の融合は一人の仕事ではありません。」と虞医師は言いました。
互いの努力を通じて、2018年には最小侵襲手術が導入されました。また、病院の浦東支部の東棟も昨年開設され、患者は1つのクリニックを訪れることで包括的な治療計画を受けることができます。
虞医師のチームは現在、外科、腫瘍内科、放射線治療、病理、画像診断を専門とした医師で構成されています。
「浦東ウィングは白紙のページのようなもので、すべての医師を集めて膵臓がん治療の新しい章を書くことができます。」と虞氏が言いました。
オンライン予約の後、患者は5人の医師で構成されたチームによって検査されます。医学生が同席することがよくあります。
現在、外来診療は3日に1回で、半日で40人の患者を診ることができますが、毎日診察できるように拡大したいと虞医師が考えています。
現在、同科はアジア最大級の膵臓疾患の最前線のセンターであり、毎年2万人以上の患者を受け入れていますので、新しい化学療法病棟は大きな病棟となりました。
「ここでの水準とリソースがあれば、医師は医学の飛躍的進歩につながり、科学的研究にも集中できます。」と虞医師は述べています。
同科は2015年以来、その最先端の研究と大量の患者の受け入れにより、上海市の衛生委員会から上海膵臓がん研究所の称号を与えられました。
壁に飾られている賞の中でも、虞医師が最も誇りに思っているのは、その称号を表すブロンズプレートです。
「この称号が膵臓がん研究のための大きなプラットフォームを与えてくれます」と彼は言いました。
浦東ウィングでの多角的な外来診察で、CT撮影の報告書を確認する虞医師。
患者に状態を尋ねています。




